経験専門家ってなに?
こんにちは、題にある経験専門家としてこの「ひきこもり相談窓口」に関わらせていただいています。
皆さんはこのHPに載っている人物紹介(仮)はもうご覧になりましたか?
その中に「経験専門家」という役職があったと思いますが、皆さんはどんな役割なのか分かりましたか?
今回「経験専門家」としてこのコラムを書いているのですが、私はこうして皆さんと関わるようになるまで「経験専門家」なんてものは聞いたこともありませんでした。
そこでこの“二つ名”、「経験専門家」について掘り下げていきたいと思います。
そもそも経験専門家って何だろう
単刀直入に言うと「経験専門家」は『今現在ひきこもり状態にあるが自分の経験を話せる人、
そして過去にひきこもりの経験を持ちそれについて自分の言葉で話せる人』となります。
(専門家という肩書がついてはいますが有資格者ではありません。)
私は上記2つの例に当てはめると後者寄りの前者ということになるでしょうか。こうして皆さんに向けて言葉を紡ぐことはできますが、まだ“普通”に生活するには高い壁のようなものを感じています。
経験専門家って必要?
先に挙げた通り経験専門家は有資格者ではなく悪く言えばひきこもりの経験があるだけで、皆さんへのアプローチの本丸には関わりません。
ではなぜ「経験専門家」という立場があるのか?
それは勉強だけでは得ることができない、当事者ならではの目線からの意見を言葉にしてカウンセラーや公認心理師、相談家族に提供することによって皆さんの気持ちを代弁させていただくことがあるためです。
少しお医者さんで例え話をさせていただくのですが、どんな病気も直す万能薬なんてないように、皆さんにも一人一人違うアプローチが必要になります。
外傷であればどんなふうに治療すればいいか見ればわかると思います。
しかし心の傷や悩みというのは外から見てわかるものではありません。そんなときに「経験専門家」が活躍するのです。過去に悩み、苦しみ、葛藤した経験を元に皆さんのどこが苦しくなっているのか見つけるお手伝いをさせていただき、公認心理師等のアプローチがより効果的に働くよう当事者としての意見を挙げさせていただいています。
「気持ち“は”分かる」→「気持ち“が”わかる」
選択肢を増やそう
また対面での相談に限定はされるのですが、公認心理師等とともにお話を聞く機会があります。その際に「公認心理師の言いなりにならない」ように選択肢を増やすお手伝いをさせていただいています。
再びの例え話なのですが、今回は山登りに例えたいと思います。
皆さんにとっての目標を山頂とすると、山頂へのルートというのはいくつもあるかと思います。早く登頂できるが険しいルート、遠回りであるがなだらかなルート…。
言い方を変えれば、苦しみは多いが短く済むルートと長くかかるが苦しみは少ないルート
貴方はどちらの方が登りやすいですか?
話を聞く人間が一人であると「流れ」のようなものが生まれると私は思います。
「話の流れ」「場の空気」で自分には難しいルートを“選ばされる”。そして持ちこたえられずに滑落…そんな結末はだれも望まないのではないでしょうか。
そのときに「経験専門家」が経験したものでしか分からないような観点より、他の選択肢を提供します。
私は上の例でいうと後者で山を登りました。その分多くの時間を費やしました。
その際に経験したこと、思ったことをお話しさせていただき、相談者の方がその言葉を聞いて、「自分自身の判断」で決められるように選択肢を皆さんに提供しています。もちろん公認心理師等の有資格者も、相談者自身の「判断」「気持ち」を大切にしています。
終わりに
私は「気持ちは分かるけどさぁ」と言う言葉がとても嫌いです。「あなたに何がわかるんだ」という気持ちがとめどなく浮いてきます。
根拠があってもうわべだけの言葉に聞こえてしまえば価値はありません。
私こと経験専門家は資格なんてものは持っていません。あるのは過去の経験とそのときに思ったこと苦しみについて言葉にすることだけです。
皆さんに学術的なアドバイスを送ることはできませんが、私の経験談から「未来」の自分を見たり、同じような苦しみを経た人物がいることであなたが話しやすくなったりするならうれしく思います。
私もまだ“普通”と言える状況ではありませんが、それ故のリアリティのあるお話をしていきたいと思っていますので、もし今後経験専門家と話す機会がありましたら是非是非気になることや、どんな人生を経たのか聞いてみてくださいね。