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経験専門家の成長日誌「あしあと」#26「本音のあれこれ」

経験専門家の「あしあと」~墨田区ひきこもりコラム#26「本音のあれこれ」

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目次
1.必ずしも…?
2.言葉と行動の矛盾
3.家庭の歴史
4.父の場合(まとめに代えて)

 

〇必ずしも…?


「本音を伝える」ということについて、今日は考えたいと思います。

大切と言われることもありますが、そう簡単ではない、というのは、読者の皆様も経験があるのではないでしょうか。

ひきこもりの話に関わることでも、もちろんあります。

①必ずしも本音で言うことばかりが良いことなのか?
②私自身、思いを伝えることが大事だと思っていたところはある。もちろんそれは大切。だが、その「仕方」にはかなり検討の余地があるのではないか?

こういったところを、今回は問い直したいと思います。

 

 

〇言葉と行動の矛盾


ひきこもりに関して、「本音で語る」ことを考える際、問題になるのは家族との関係です。

「本人とどう話せばいいのかわからない…」なかで、
「本音のやりとりをすればいいのか」「本心を見せるようにすれば、向こうも話してくれるかな」と正解的に思う方もいるかもしれません。

必ずしもそうではないのではないか、と思うのです。

もちろん、本音のやりとりや、気持ちを伝えること自体は、とても大切なことです。
ただ、正確には、順を追って少しずつ、慎重にしていくものなのではないか、と思うわけです。



もし、心を開いていない相手から、一緒にいて安心できない相手から、心のうちを語られたら、みなさんどう思うでしょうか。
戸惑ってしまうかもしれません。

もしそれが親だったら。
力関係も相まって、むしろ怖いと感じてしまうかもしれません。

逆でも言えますね。
本音を語ることをしていないのに、行動でそれが滲み出てしまう場合もあるでしょう。

親から、口では「将来は気にしなくて大丈夫だよ」と言われているのに、仕事や将来に関するパンフレットばかり日々持ってこられたら、どう感じるでしょう。
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やはり、本人としては「信用ならない」と感じてしまうかもしれません。



本音を伝える、本心を話すのが悪い、ということではありません。
さっきも書きましたが、これって、難しい。

要は、「ひきこもりに至るまでのこれまでの親子の歴史を無視して本音や気持ちを伝えても、本人には入りづらい」、というお話なのです。

そこには、言葉と(これまでの)行動との矛盾があるからです。

 

 

 

〇家庭の歴史


わたしの親で考えると、本当にそうだなと思います。

これまでも何度か書きましたが、私は大変父親と仲が悪い家庭でした。
悪いというか、無いという方が正しいような。

家の中にいる他人、という感覚が、正直なところでした。

もしそんな父が、ひきこもりの私に対して「本音」「気持ち」を語るとしたら。
例えそれが「温かい」メッセージだったとしても。

私は、「嫌だな」と感じます。

それこそ、その言葉が、これまで長年培われてきた父の家庭での振る舞い、私に対する行動と矛盾しているからです。

例えどんなに優しい、自分の求めてる言葉だったとしても、です。



その言葉はあなたからはもらいたい言葉ではない

…そう、思ってしまうかもしれません。

本人と親が、どのような関係性なのか。
これまで培ってきた家庭内の歴史・文化を考え直すことが、いかに重要か。


ひきこもりに対して、「こう振舞えばいい」「こういうことを話せばいい」
というものではない、ということがここでも分かりますね。

 

 

 

〇父の場合(まとめに代えて)


一つ結論めいたことを言うとすれば、
「言葉よりも行動ベースでまずは変えてみる」ということは、言えるのではないでしょうか。



まずは、挨拶からでもいいと思います。
何を言うでもなく、ただ単に、ひきこもりの本人がそこに「居る」ことを認める「行動」としての、あいさつ

あるいは、ただ雑談でもいいかもしれません。
何を求めるでもない、導く結論もない、単なる言葉の交わし。



私の父だったら、どんな行動をとってほしいと感じるか。
現実では別居していましたが、もしひきこもり当初同居していたら、どうだったか。

考えてみました。

…「謝ってほしい」な、と思いました。
本音で語り合う前に。

急に謝られるのもそれはそれで苦しい。
話さないでもそこに居ていい、という経験をまずは重ねさせてほしい。

挨拶から。
好きなものをたまにくれたら、じわじわ嬉しく感じる。
折に触れてもらう感謝の言葉もいい。

だんだん、短くとも普通に話せるようになって…
謝ってほしい。
そして、私も謝りたい。



妄想に近いような内容ですみません。

①本音・本心は少しずつ、馴染ませるように
②安心できる環境づくり
③ひきこもりやその支援においては、自分たちの家庭が培ってきた歴史、「文化」はどんなものなのかを、無視できない


と、いった内容でした。

私の事例はあくまで私のものなので、こうしなさいという正解ではありません。
ただ、いち当事者の気持ちに触れる手段として、今回の話を参考にしていただければと思います。

長くなってしまいましたが、どうもありがとうございました。
それでは、また。

 

 

 

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