経験専門家の成長日誌「あしあと」#37「いろいろな選択肢」
経験専門家の成長日誌「あしあと」~墨田区ひきこもりコラム#37「いろいろな選択肢」
目次
1.はじめに
2.回答内容ー体調回復後の選択
3.いろいろな選択肢
4.「うちの家だったら、どんな選択をするだろう」
1.はじめに
今回のコラムは、「回復後」に焦点をあてて考えたいと思います。
当時の私の、体調や気持ちが回復したとき、どういった迷いや感覚、実際の選択があったのか。
そして、私に限らず、どんな選択肢があり得るのか。
先日、人前で喋る機会がありました。
そこで、ひきこもり回復期のこと、その際の「いろいろな選択」について、回答したのですが、これによって、改めて考えを整理することができました。
今回は、それを載せつつ、
・社会に出る=仕事を始めるではないし、働くor家にいるでもない
・柔軟かつ多様な選択・道のりがある
といったことをお伝えしたいと思います。
また、読んでくださった方に「うちの家だったらどうかな」と考える機会になるようなものにしたいと思います。
2.回答内容ー体調回復後の選択
【① 活動できるようになってきた頃、どんなことを考えていたか】
当時は自分の好きなもの、コアな趣味、考えなどを共有出来る人や場所を求めていた。
さびしさ、孤独感がとても強かった。
趣味のサークルや習い事、その他東京にある面白そうなコミュニティなど、たくさん調べてはいたものの、実際には行けず、毎日「今日も出来なかった…」という感覚があった。
仕事のことも考えていたが、現実味はなかった。
生活がままなっておらず、何より、自分の願いが満たされてないためか、「仕事も出来たらいいけど、他のことが先だ」という感覚があった。
未完了なものがまだ残っている、という感覚だった。
また、福祉資格の実習があったので、それを取ってから考えよう、と切り離してもいた。
(ただ、今思えば、有償ボランティアなどで、興味のあるもの・出来そうなことは当時からあった)
【② どんな選択肢を考えたか】
上記のような選択肢を持っていた。
自分の中の切実さは、「語り合える人、居場所があること」→「生活を立て直すこと(リズム、習慣等)」→「仕事を始めること」の順に大きかった。
【③ 実際にどんな選択をしたか】
ボランティア経験や実習を終えたことが、動くきっかけになった。
この頃には仕事のことを調べて応募など画策していた。
ただその前に、趣味のコミュニティの方に実際に参加をし始めた。
これまで調べていた(だけの)所に、実際に行きはじめることができ、仕事ではないものの、世界が広がる感覚があった。
そこでのある種の達成感や自信もあり、動きが増えてお金が必要になってきた面もあり、数カ月後には仕事に応募、現在の会社で働き始めた。
【④ その時の親の関わりで、良かったと感じたこと】
頭ごなしに「仕事を」と言わず、自分の興味あることについて、聞いてくれたこと。
趣味などに対しても、興味を持っている様子を見せてくれたこと。
何か相談した際は、一緒に考えてくれたこと。
ご飯を作った際の「ありがとう」など、小さなうれしい声かけをこまめに言ってくれていたこと。
【⑤ その時の親の関わりで、負担に感じたこと・もう少しこうだったらと思うこと】
とはいえ、仕事を早めに始める、ということを前提で話をしていた部分もあった。
当時嫌だった、それが駄目だった、というほどではないが、いまにして思えば。
個人的には、もう少し心身の準備を整えてから、あと数ヶ月でも遅く仕事を始める方が良かったかもしれない。
親を喜ばせたい、という感覚もあった。
親の問題というよりは、親子の間で起こりがちな気の回し方をお互いにしてしまっていた。
もちろん、自分自身の焦りもあったと思う。
大事なのは、本人の優先事項がどこにあるかということ。
あとになって予後が悪くなる(焦って仕事することによる影響が出る)くらいなら、多少時間をかけたとしても、本人のしたいこと、望む進め方を大事にする方がいい、と感じる。
とはいえこれも、後になってからだから言えることであって、「なにが一番よかったのか」は、いまとなってはわからないけれど…。
そういう意味で、本人も親も、出来るだけ「前提」抜きに一緒に考えるということができたら一番いいとは思うけれど、お互い、なかなか難しいことだとも思う。
3.いろいろな選択肢
いかがでしょうか。
今回出た「私の取った選択肢」を整理してみましょう。
・若者の支援団体(居場所、相談の場)
・通信制の学校(+実習への参加)
・有償ボランティア
・趣味のサークルへの参加
でもほかにもいろいろな選択肢がありえます。
就職や進学以外にも、
・習い事
・運動(ジムに行く等)
・オンライン上でのコミュニティ
・各種(興味のある)イベント、会などへの参加
・当事者会
・在宅ワークや単発のアルバイトなど、多様な働き方
・生活保護などの制度の利用
・病院、クリニックの利用
さまざま挙げてみましたが、当然、これだけではないと思います。
各人で、他に思いつくところもあるかもしれません。
それぞれの望みや考え方、住んでいる地域などによって、さまざま変わるかと思います。
また、これと一つに決める必要もなければ、選んでいく順番も、ひとつのルートに決まっているものではありません。
仕事じゃないと、と焦る気持ちもあるかもしれません。
しかし、それ以外の部分に躓きを抱えている場合は、とても多い。
私もそうでしたが、できる範囲で活動をしているうちに自信や気持ち(お金が必要、学びたい等)が出て来て、働いたり進学したり、他の活動だったりに繋がっていくこともあり得ます。
今回はぜひ、そのことを知っていただければと思います。
4.「うちの家だったら、どんな選択をするだろう」
さて、最後に、読んでいる方、特にご家族の方に実際に考えていただく機会も作ろうと思います。
ずばり、「うちの家だったら、どんな選択をするだろう」ということ。
ご本人が選べそうなことって、何でしょう。
仕事や進学でもいいですし、趣味や社会活動、その他もろもろ。
「〇〇が昔から好きだし、それならしたくなるかも」など、些細なことで構いません。
家族としてさせたいこと、ではありません。
本人が選べそうな、社会参加の仕方。
ぜひ、この機に考えてみてください。
期待と本人の選択は別です。
もちろん、家族側の考えもあると思いますが、同時に本人の考えも尊重するということが、必要かと思います。
あとになって考えても、やっぱり「話を聞いてくれた」「考えを尊重してくれた」という体験やうれしさは、長く心に残ります。
それは、全部本人の言う通りにしなければならない、ということではありません。
本人がそう思っているということについて認め、聞きつつ、あくまでも「一緒に考える」ということが大切なのだと思います。
今月は、この辺で。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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