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経験専門家の成長日誌「あしあと」#21「家と安心~支援について」

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#21「家と安心」

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目次
1.ふと振り返ると…
2.安心について
3.支援について
4.まとめ

 

〇ふと振り返ると…

 

いま、自分がひきこもっていた頃を振り返った時に、ふと思うことがあります。
「あの時、自分に安心はあっただろうか」と。
「どうやって自分は過ごして、どんな時間に一服の安らぎを得ていただろうか」と。

妙な問いだと思う方もいるかもしれません。
しかし、わたしにとっては、あの頃を考えた時、真っ先に考えてしまうことでもあるのです。
わたしにとって、これはとっても大切な問題だったのです。

あるいは、支援に取り組むスタッフの一人として、ひとりの人間として、いま現在でも、これは重要なものかもしれません。
なぜでしょうか。
「安心」とか「家での過ごし方」とかいったことが、なぜ大切なのでしょうか。



もっと言えば、わたしに限らない問題でもあります。
ひきこもりというと、もしかしたら「家で楽に過ごしてる」と思っている方もいるかもしれません。
自分の部屋があって、したいことをして、と。

そうではないのだ、ということを今回は書いていきたいと思います。
それについて書く中で、「ひきこもり支援」というものについても、簡単ではありますがお伝えできればいいなあと考えております。
それでは第三回コラム、始めます!

 

〇安心について

 

冒頭の書き方からして、すでに感じている方もいるかもしれませんが、なぜ安心というものが、重要なのか。
多くの場合、それが「ない」からです。

ひきこもりという状況に至る道筋は、もちろん人によって違います。
しかし、本当に多くの方に共通しているのが、安心感のなさ。
自分が、世界がどうなるか全く分からない、「予断を許さない」という感覚です。



冒頭の問いへの回答でもありますが、わたしがひきこもっていた頃は、「安心」というものがまるでありませんでした。
常に何かに追い立てられ、よからぬ考えに襲われていた日々でした。
妙な言い方ですが、「走り続けてた」ような気がします。

仮に何かをしていても、逆に言えば、その分何かをしていない。
悲しいことですが、それが(当時の)正直な感覚でした。
「自分はしていない」「足りてない」という根源的な不安が、自分をいつまでも付きまとっているのでした。



calender_shock_man.pngもちろん、これは人によって程度はありますし、環境次第では、安心を得られる時期を過ごした方もいるかもしれません。
しかしそれは逆に言えば、この「安心」というものは、それを得るにせよ得られないにせよ、ひきこもりという現象と大きく関わっているのだ、と言うことができるのです。

 

 

〇支援について

 

支援においても、これは言えます。
形はどうあれ、この世界で生き、傷つき、「これ以上はここにいられない」というまでに至り、家にひきこもる、という状況が起こる。

だからこそ、まず大切なことは、「いかに家の安心感を醸成するか」「その領域をどう少しずつでも広げていけるか」なのです。
それによって、どこまで「本人の苦しさを減らしつつ、生きたい仕方で生きていけるようになる」か。難しく、時間のかかることですが、それが何よりだよな、と個人的にも思っています。



ひきこもり支援においては、当事者はもちろん、同居の家族、親との関係というものも、重視します。
親との関係で緊張が起こり、それこそ安心を得られず、家や部屋から出られなくなる、ということは非常に多い。
かつ、家族とのこれまでの歴史のなかで、安心感をはぐくむことが出来なかった、ということもあるでしょう。

だからこそ、支援においては、「家」 「家族関係」というものを大切に考えます。
本人より先に、まずはご家族(多くは親)と話を重ね、家の環境や関係性の変化を、少しずつ試みていくのです。スクリーンショット 2025-05-30 165000.png

ここまで読んでくださった方は、もうお分かりですよね。
本人の部屋に無理やり入るとか、家に押し入って本人を引き出すとか、そういったやり方がいかに間違っているか。
万が一良いように見えても、それは長期的には、事態を悪化させることになります。
なぜなら、そこには一切の安心がないから。

ひきこもりの方の置かれている状況や背景への理解が進むことを切に願います。

 

〇まとめ

 

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
今回はやや重めだったかもしれませんが…いかがでしたでしょうか。

ひきこもりという状況は、家や部屋が自分を守る(最後の)砦になっている、ということでもあると思います。
それでもなお、多くの当人たちは安心感のなさ、不安に苦しんでいる。
それだけでも、知っていただきたいと思います。
ではまた次回!さようなら。

 

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